INTERVIEW / XP UP / 08 QUESTIONS
物語と仕掛けの、
その裏側。
『小早川さんはソウルライク』の誕生、ゲームという表現、海外への広がり。全8問のインタビュー回答を収録しました。

01 / 質問
あなた自身のことや、ゲームを作るようになった動機について少し教えてください。
ほくと
ほくとといいます。インディーゲームを作っています。初めて作ったゲームは『数字の消えた日』です。数字が消えた世界を舞台に、プレイヤーが感覚だけを頼りに戦う短編RPGです。
作品を作るうえで自分が最も関心を持っているのは、従来の意味で単に物語を語ることではなく、体験を通してプレイヤーの感情がどう変化し、終えたあとに何を持ち帰るのかを考えることです。
『数字の消えた日』には独自の設定や背景がありますが、物語を細かく説明してはいません。それよりも、実際にプレイする中で何を感じるかに重点を置きました。
自分がゲームを特に面白いと思うのは、絵や台詞だけでなく、UIやゲームシステム、さらにはプレイヤー自身の行動まで表現の一部になり得るところです。プレイヤーが能動的に参加するからこそ成立する体験を考え、実際に遊べる形にすること。それがゲームを作る大きな動機の一つです。
02 / 質問
『小早川さんはソウルライク』は、まったく異なる二つのジャンルを組み合わせたユニークな作品です。どのようにして思いついたのでしょうか?
ほくと
大きな理由の一つは、以前からフロム・ソフトウェアのゲームやソウルライクが大好きだったことです。
『DARK SOULS』三部作と『ELDEN RING』は、DLCも含めてレベル1・ソロ・近接でクリアしています。ボスのノーダメージ撃破などもやってきたので、このジャンルにはかなり長く触れてきました。
でも、『小早川さん』の実際の始まりはもっと単純でした。「好きな女子との会話がソウルライクのボス戦として描かれたら、面白いんじゃないか?」と思ったんです。それが出発点でした。
自分のゲームでは、人と人との関係や、その関係を通じた自己受容といったものを扱うことがよくあります。恋愛にも興味があります。感情や関係性が大きく変化することがあるからです。ただ、このゲームを作り始めたときから、そうしたことを理屈で考えていたわけではありません。
小さなアイデアから始まって、制作を進めるうちに、恋愛ADVとソウルライクが予想以上にうまく噛み合うことに気づきました。
03 / 質問
ほかのプラットフォームでもゲームを公開する予定はありますか?
ほくと
現在、日本ではPLiCyとBOOTHで公開していて、海外のプレイヤーにもアクセスしやすくするために、最近itch.ioでも公開しました。itch.ioではブラウザ版とWindowsダウンロード版の両方を用意しています。
現時点でSteamでのリリースについて具体的な予定はありません。もともと、誰でもブラウザですぐに遊べる、短くて無料のゲームとして作りました。
とはいえ、将来の可能性を完全に否定しているわけではありません。
04 / 質問
ゲームの内容を拡張する予定はありますか?
ほくと
現時点では、既存の『小早川さんはソウルライク』を長いゲームにする予定はありません。
約5分という短さは、このゲームのテンポと魅力を形作る重要な要素だと思っています。
ただ、会話をソウルライクの戦闘として捉えるアイデアには、まだ別の可能性があると思います。同じゲームを単純に長くするより、この発想を違う形で発展させることに興味があります。
05 / 質問
作品全体への反響はいかがでしたか? 特にスペイン語圏からの反応について聞かせてください。
ほくと
たぶん、一番驚いているのは自分自身だと思います!(笑)
公開から約2週間でPLiCyのプレイ数が8万回を超え、同サイトのADVジャンルの歴代プレイ数ランキングで7位になりました。BOOTHのWindows版も1万回以上ダウンロードされています。
日本のゲームメディアが取り上げ始めた頃から、想像以上に大きなことが起きていると感じていました。それが海外メディアや配信者にも広がり、ますます現実感がなくなっていきました。
特に印象に残っているのは、海外で作品が広まったことをきっかけにゲームを知ったプロのゲームローカライザー、Facundoさんが、自分から連絡をくれて「スペイン語にローカライズしたい」と申し出てくれたことです。別の言語を話す人たちにゲームを届けるために力を貸したいと思ってくれたことは、自分にとって本当に大きな意味がありました。
そして、そのスペイン語ローカライズが今回のXP UPでのインタビューにもつながりました。多くの人に遊んでもらえていることはもちろん嬉しいですが、このゲームを通して、ほかの国の人たちとの新しいつながりが生まれたことも、とても大切に感じています。
06 / 質問
過去の2作品も拝見しましたし、『小早川さんはソウルライク』にはそれらへの言及もあります。より多くの人が楽しめるよう、過去作もローカライズしたいと思いますか?
ほくと
はい、したいと思っています。
過去作の中でも『落花のメモリア』は、いつかもっと多くの人に届いてほしいと特に思っている作品です。
誰かを愛すること、誰かと一緒にいること、そして簡単には割り切れない人間関係の複雑な感情について考えながら、自分自身の経験の一部も材料にして、とても真剣に物語を書きました。
『小早川さん』と違って、分かりやすいフックを中心に作った作品ではありませんし、単純に明るい物語でもありません。人気を得やすいタイプのゲームではないだろうと最初から分かっていましたが、自分が本当に作りたいものだったので作りました。
だから、いつか言葉の壁を越えて、あの物語を体験してもらえる機会があればとても嬉しいです。ただ、現時点では具体的なローカライズの予定はありません。
07 / 質問
ほかに構想中、または制作中の作品はありますか? 今後の作品もローカライズしていく考えはありますか?
ほくと
はい。実はもう新しい『小早川さん』のゲームを作っていて、英語版も完成しています。
今週後半に正式発表する予定です。
前作が予想以上に多くの海外プレイヤーに届いたので、今回は最初から日本語版と英語版の両方を用意しました。
今後のゲームでも、可能な限り海外のプレイヤーが遊べるようにする方法を考えていきたいです。ただ、すべての作品をすべての言語にローカライズできるとは約束できないので、作品ごとに何が適切か判断していこうと思います。
08 / 質問
『小早川さんはソウルライク』を遊んでくれた人たちへ、何か伝えたいことはありますか?
ほくと
まず、本当にありがとうございます。
自分のゲームを遊んだ人の反応を読むのが、昔から大好きです。自分が伝えたかったことがどこまで届いたのかを知ったり、自分では想像もしていなかった解釈を発見したりするのも、ゲーム制作の楽しみの一つです。
ただ、このゲームでは感想や動画、配信を本当にたくさんいただいていて、もう自分一人ではすべて追い切れなくなってしまいました。
遊んでくれた皆さんだけでなく、友人に勧めてくれた方、配信してくれた方、翻訳してくれた方、ほかの国のプレイヤーに届けようとしてくれた方、すべての人に感謝しています。
この小さな5分のゲームを、自分では想像もしなかったほど遠くまで連れていってくれて、ありがとうございました。
PUBLISHED EDITION / ESPAÑOL
スペイン語の掲載版
XP UPがInstagramに公開したスペイン語の誌面(全9ページ)も閲覧できます。原稿と掲載版では編集・抜粋による違いがあります。








